はじめまして。今日から電子タバコです。
あ、いや、どうも。はじめまして。今日から電子タバコです。
電子タバコ。良いですよね。本当に良いです。
美味しいし、タバコよりゃ身体に良いし、部屋臭くならないし、なんとなく青春くさい。
そう!!青春!!
春が青い、いや、春は青いのは当たりまえで、茶色い春とかありえない。
つまり「甲羅が硬い」みたいな言い方なんですね。青春。
甲羅が硬いのは当たり前なのに、何故か「彼のあそこは甲羅のようだった」とは書かずに「彼のあそこは甲羅のように硬かった」と書く訳です。
いやぁ、こんな言い回し、無いですよねぇ。例えがうまく無いですねぇ。
まぁ、結局ですね。
40絡みのおっさんが、若い頃を回顧して無理やり電子タバコなんかと結びつけて適当に色んなことを書いていこうかなぁなんてブログです。
だってほら、リキッドレビューとか、デバイスレビューとかもう先人がやっている訳で、今更そこに突入してもねぇ、めんどくさいと言うかなんと言うか。
僕がそうだなぁ、うん、17歳、いや16歳くらいの頃だったかな?
当時はオオラカ?うーむ、オオラカとは違う、なんちゅーか、いい加減という時代だったですよ。
僕は地元のカラオケパブでバイトをしていた訳です。
今のように「カラオケボックス」なんてまだ無い時代。いや、あったなぁ。ボーリング場に「レーザーカラオケボックス」なる2~3人で汗だくになるくらい狭いボックスが。
だから「カラオケパブ」です。料理とお酒があって、ホステス未満、ホスト未満の若い給仕が居て、ステージがあってそこで皆歌うの。
テーブル毎に番号が振ってあって店のMCが「続いての曲は〇番テーブルのお客様のリクエストで中島みゆきの『悪女』です!」なんつって、拍手が起きて・・・。みたいな。
怪しいでしょ?
うん、とても怪しいんです(笑)
で、怪しい場所には怪しい人間が集まると言うもので、デシャップ?と言うかまぁ、フルーツ盛り合わせとかチーズサラミとかオードブルなんかの、これまた「どこの三流クラブだよ?」くらいの料理とも呼べない物を出しながら、何故か「レモンサワー」とか「グレープサワー」みたいな居酒屋ノリの飲み物を出すカウンターの中に、とても怪しい人が居たんです。
テッペンは薄いのに無理やりドレッド風にしているおじさん。
今考えたら、絶対に仲良くなっちゃいけないおじさん。
で、そのおじさんの隣には、そのちょっと前まで「ウィーラード」と言うバンドの前身でギターを弾いていて難聴になってしまい、その時には何故か環境音楽みたいなものを作曲していた髪の長いお兄さん。
怪しいでしょ?
ますます怪しいんです(笑)
でもさぁ。
こちらは多感な16歳なんですよ。ちょうど伊予がデビューしたくらいのお年頃。
同級生よりちょっと大人になりたいじゃないですか。
学校の友達に「オレ、怪しいんだぜ?」って威張りたい訳なんですよ。
まぁ、学校の友達とか全然もっと怪しいんですけど。
麻布〇番入り口の某バーガーショップにたむろしてたチーマーっぽい人とか、渋谷のラス〇ラに入り浸ってパラパラ踊ってて何故か「Fine」と言う雑誌でパラパラ踊る分解写真を載せられちゃったガラス屋の息子兼、暴走族の生き残りとか、足立区から越境入学してきたのにバイト先で足立区の〇兄弟という危ない人と一緒になって逃げ出す人とか、他にも書けやしない人ばかりの学校だったんで、ちょっとやそっとじゃ威張れない訳でして。
だから怪しいものにドンドン惹かれる訳ですね。これは極々自然な流れです。
でまぁ、そのおじさんと髪の長い人がですね、好きだったんですよレゲエ
当時の僕のレゲエへの印象は「こじ〇」ですね。
なんというかオオラカな時代でして、子供の頃は近所に居るホームレスの人を指して「レゲエだ!レゲエだ!」なんつってた訳で(ごめんなさい)
まぁ、ぶっちゃけ、音楽云々よりもその風貌、スタイルに対して物凄く偏見があった訳です。
とある日。
おじさんの方が競馬で万馬券を当てます。
ウン十万と言うレベルではなく、ウン百万。だったと思います。
そのおじさん、友達が居なかったんでしょうか、16歳の僕と髪の長い難聴のお兄ちゃんを誘って、六本木へと繰り出す事にしたんですね、何故か。
そのときのルートはこうです。
仕事が終わるのが0時。毎週末その後に六本木の「回らない御寿司屋」にて食事→「ホットコロッケ」と言う生バンドが入るレゲエスタイルのライブハウス→「ピジョン」と言う小さな箱の現代風に言うなら「クラブ」→叙々園でカルビ
うん。16歳にしては怪しい行動。
まぁ、いいや。お話の核はそこじゃない、そこじゃない。
僕が言いたいのは「レゲエ」ですね。
僕が電子タバコと出会った衝撃と言うのがまさに、この「レゲエ」と言う未知なる物と出会った衝撃にとても似ていたのです。
寿司屋は放っておきますよー。とても美味しかったし、多分3人で10万に近い会計だったと思いますが、放っておきます。毎週だったけど放っておきます。
で、その怪しいおじさんが実は北海道出身で、つい最近東京に出てきたばかりだったそうで、北海道に居る頃から六本木のライブハウス「ホットコロッケ」に行ってみたかったと言う事で、まずはその「ホットコロッケ」に向かうんです。
確かワンドリンク付いて入場料が「2500円」とか「3500円」とかそんなもん。
もちろん、ドリンクはマイヤーズのゴールドラムです。奢って貰う身、贅沢は言えませんし、甘くて鼻の奥に香りが残るこのラム酒が口に合わなかろうが、本当は飲んではいけない16歳なんですから文句は言えません。
その「ホットコロッケ」は割と、いやいや、日本ではとても有名なレゲエのライブハウス。それなりのレゲエミュージシャンはその舞台に立っているのではなかろうか。
ただし、印象としては余りに小奇麗過ぎる。客層も日本人と外国人が半々で、白人層もそれなりに居た覚えが。
でね。
そのおじさんはコ汚いんですよ。言っちゃなんだけどコ汚い。
だからホットコロッケは導入部なんですね、長い夜の。ちょっとレゲエに身体を慣らすと言うか、準備運動と言うか。
そのおじさんにとっては、ホットコロッケの次の「ピジョン」が本番だった訳でして。
僕にとっても衝撃の出会いは「ピジョン」にあったんですね。うん。
ピジョン────「鳩小屋」と名付けられたそのレゲエクラブは、六本木トンネルのU字の頂点の凡そ真下、旧防衛庁正門の目の前の信号を渡り、ストロベリーなんちゃらと言うフぁミレスもどきを通り過ぎ、米軍施設のある道の途中にありました。
鳩小屋の名前のまま、螺旋階段を上がったビルの5階だか4階にあったそれは、とても狭く、そしてとてもエキサイティングな場所でした。
16歳のケツの青い小僧にとっては、怪しくてカッコイイ場所です。
2重扉になっているのですが、最初のドアを開けると内扉には「当店はディスコではありません、ダンスは禁止します」との張り紙があったのですが、内扉を開けるともう目の前でいやらしいダンスが繰り広げられてます。
今思えば単なる「風営法対策」なんですが、当時は「ルール破る大人!かっこいい」みたいなノリと言うか。
で、入るとすぐ左に1間くらいのバーカウンター。中にバーテンが居て、カウンタの左端には何故か一房のバナナ。これはなんと食べ放題。
ワンドリンク付いて1500円を払い、ここでおマイヤーズのロックを頼み中に入ります。
しかし中ほどまで進めない。溢れるほどの人で中には進めないのです。
そして中に居る人の9割以上が黒人…。
日本人は僕達とバーテンと店長とDJ、どれに常連のような大人の人が2人ほど。
今の僕なら恐れおののくでしょう。
しかし若いと言うのは武器です。恐れ知らずです。
どんどん人を掻き分け中に進み、いつの間にか黒人達の輪の中でバナナを頬張りながら笑っています。
そんな時────クライマックスを演出しようとしたDJがあの曲を掛けたのです。
ボブマーレー、バッファローソルジャー
その瞬間。
ゲロを吐きそうになってた黒人姉ちゃんも、険悪な雰囲気だった片隅の集団も、そしてなんのこっちゃ分からないのに楽しいと感じてた僕も、みんな一緒に踊って歌ったのです。
ワイヤイヤイ! ワヤヤイヤイ! ワイヤイヤイヤワヤヤイヤイ!
あの時の身体の芯に来る響きと快感。未だに覚えております。
そして周りにたたずむ笑顔の怪しい大人たち。人種を超え、性別を超え、年齢を超え、それでもとてもとても怪しい。そんな大人たち。
そんなクソ怪しい大人たちがかっこよくて堪らなかった16歳の夏。背伸びしてた夏。
もうオジサンになってしまったけれど、怪しさに惹かれる感覚は残っていたようです。
電子タバコに出会って、人種、性別、年齢を超えてたたずむ笑顔の大人たちを見ると、何故か怪しげな夏を思い出すのです。要するに。
怪しい大人達がこぞってハマるVAPEってなんかカッコ良くね?
うんまぁ、数年ぶりにボブマーレーを引っ張り出し、耳を傾けながら電子タバコをくゆらすひと時が、最近のお気に入りの時間です。僕はあやしくなんかないよ。